各メーカー、初めてのホームページ
各メーカーが始めてホームページを立ち上げたのは多少ばらつきはあるものの、日本でインターネットが一般化され始めた1996年の後半頃からのようです。
最も最初にホームページを立ち上げたのはトヨタのよう。さすが世界のトヨタ。
一応Copyrightに1995からとありますが、しかしWebArchiveから確認できたのは1997年の6月からでした。残念。
ちなみに現在「トヨタ」で検索をかけてトップに表示されるドメインは「toyota.jp」なのですが、このドメインは以外にも2004年からのもの。
それ以前は「www.toyota.co.jp」のドメインがメインのホームページとなっていました。
現在は「toyota.jp」で車の情報を、「www.toyota.co.jp」では車も含めた技術情報などを掲載し、カタログ的なweb
サイトと会社のwebサイトという形で別々に運営されています。
次に古くからあるのがマツダと三菱。
二社とも1996年の11月に開設されました。
次いで同年の12月、スズキも後を追うようにホームページを立ち上げます。
ホンダは翌年1997年の3月から。
そして同年6月に日産のホームページが開設されました。
スバルは1998年の1月。
スバルもトヨタ同様、現在検索でトップに表示されるドメインは2007年からのもので、それまでは富士重工業のホームページの中でスバル車を掲載するという形を取っていました。
現在「www.subaru.jp」はスバル車について、「www.fhi.co.jp」は富士重工業の会社案内といったように分けられています。
一番遅かったのがダイハツで1998年の12月からです。
最近の若い方々には「ホームページ」という言い方に違和感があるかもしれませんが、そもそもほんの一昔前はwebサイトのこともホームページと言うほうが一般的でした。
実際、各メーカーのサイト下部を見るとどこも足並み揃えて「ホームページ」と書いています。
インターネット黎明期と言われる頃から黒歴史的なホームページを製作してきた筆者にとってwebサイトよりホームページの方が耳なじみがいいのですが、現在はこのホームページも死語になりつつあると言うので驚きを隠せません。
また注目すべきは、フッター部分に「このホームページはNetscape 2.0または、Internet Explorer 3.0以降のブラウザでご覧下さい。」等と言った注意書きが入ることです。
現在はいかなるブラウザで閲覧しようとも大幅に見た目が崩れることのないよう、レスポンシブデザインがwebサイト製作の基本。特に大手企業のwebサイトがユーザー側に使用するブラウザを指定するなんて、今では考えられないことですよね。
当然当時のモニター解像度なんて今ほどありませんから、センターか左寄せで小さくコンテンツがまとめられています。また表示速度を考えて三菱やスバルのようにテキスト中心にしたり、画像もgifを使用するなど、とにかくなにもかもコンパクトに、できるだけ1ページあたりの容量を軽く抑えているのがこのころのwebサイトの特徴です。
2000年代に入るまでは、企業ホームページだけでなく個人のホームページに関しても、マツダのように上からずらっとリンクが並んでいるようなデザインが主流でした。まさにテンプレ教科書通りのようなマツダさん。
それを考えると、この当時のホンダやダイハツはかなりおしゃれなデザインだったように思います。
実際この二つは今見てもよくできたデザインだなーと感じませんか?
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更新はほとんどありません
一般家庭にインターネットが普及していなかったので当然と言っては当然なのですが、この頃は「一般人がインターネットで情報収集する」という概念がなかったため、どちらかというとホームページは他企業へ向けた「会社案内のパンフレット」的な立ち位置でした。
ですので、会社案内のパンフレットを毎月のように刷り直ししないのと同じように、2000年代前半にかけてまではどのメーカーも更新頻度は少なめが基本。
実際、年に2〜3回ちょっとした更新がある程度で、今みたいに毎月毎月新着ニュースが更新されるなんて考えられないことでした(笑)
1998年12月にかけて、トヨタ、日産、スバルがホームページのデザインにてこ入れをはじめます。
この頃からwebデザインをかじっている方は思わず、「おぉー、懐かしい」と言ってしまうことでしょう。
2000年前後によく見られた、フレームを使用したwebページです。
しかしこれ、ソースを見ると本当にシンプルですね。
日産は動くgifを使用。これ、動かす必要あったかどうかはともかく。
スバルは画像のほとんどが見れなくなってしまっています。残念。
ちなみにスズキは同年6月にFLASHを使ったホームページを五ヶ月だけ公開したのですが、
11月にはすぐにシンプルなホームページにしてしまいます。
うーん、この頃って確かにまだFLASHとか一般的じゃなかったかな?
時代を先取りしすぎたのかもしれませんね(笑)
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一方でブレブレなメーカーも
上記の殆ど更新がないメーカーとは対照に、なにがしたいのかわからなくなっているメーカーもあります。
それがマツダ。
1997年にやたら更新があると思えば
なにこれ見にくい。
しかしこの背景にやたら画像を敷き詰めたくなる謎の現象、この時代にweb製作をしたことのある方なら「あるあるネタ」なのではないでしょうか(笑)
しかし流石の担当もこれは見難いと理解したらしく、約三ヵ月後に修正されます。
……むしろ三ヶ月もそのままだったのか。
そしてトヨタ、スバル、日産と同時期に落ち着いたホームページへと転向。
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まったく動じないホンダとダイハツ
上記のようにほぼ更新のたびに大幅に見た目を変えているメーカー達とは対象に、ホンダとダイハツは長い間TOPに表示している画像と多少のコンテンツリンクの表示を変えるだけにとどまっています。
やはり最初の状態である程度完成されたデザインだったのが大きいのでしょうか。
ダイハツ2000年
ダイハツ2001年
TOPが少しだけ変わりましたが基本的なデザインは変わっていません。
ダイハツ2002年
なんとダイハツ、2003年の4月までこのデザインで貫きました。
一方ホンダは97年の10月に一度TOPページのイラストを変更しただけで
99年3月までこのデザインのままでした。
ちなみにこのホンダの素敵な水彩画、Bowさんというイラストレーターの方が描かれていて、
こちらのページから過去にホンダwebページ内で使われたイラストのギャラリーを見ることができます。
その後少しずつメニューの改変はありましたが
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
なんと2006年の4月まで、このコンセプトで戦い続けました。
いやー、こう見るとやっぱり、最初に流行に左右されないデザインでベースを作っておくことって大切なんだなあと思いますね。
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終わりに
この頃ってまさにインターネット黎明期というやつでして、大手企業のホームページもまるで個人のホームページの如く迷走しまくってた時期なんですよね。
今でこそ大手企業のwebサイトは安心して見ていられますが、当時は「素人が作るよりひどい!!」なんてものがゴロッゴロ転がっており、それはそれは面白い状態だったのです。
この記事、とっても長くなりそうなので今回はここまで。
また次回の更新をお楽しみに。
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