世界の七不思議のひとつとも言われており、こういったオカルトや不思議が大好きな人たちからしたら割と今更感のわる話題かもしれませんが。
とりあえずその階段とやらを見てみることにしましょう。
おおー、本当に支柱がないですね。
下から見上げると圧巻。
不思議ですね。
この「聖ヨゼフの螺旋階段」、アメリカ・ニューメキシコ州・サンタフェにあるロレット教会の中にあります。
現在は手すりがついていますが、昔はこの手すりすらなかったようですよ。
これはちょっと登るの怖い(笑)
さて、この螺旋階段本当に建築構造上再現不可能なのでしょうか?
その謎に迫る前に、階段にまつわる伝説について触れておきましょう。
このロレット教会は1873年に建築家P.ムーリーによって設計されました。
このムーリー氏、かなりのおっちょこちょい?のためか、なんと完成間際に2階に行くための階段を取り付け忘れたことに気がつきます。
マイホームがそんなことになったらおっちょこちょいでは済みません。
なにはともあれ、階段のないまま教会は完成。
しかし当然のことながら2階への階段がないととても困ります。「2階は観賞用で。」なんて選択肢は当然ながらありません。
シスター達は街の色々な大工にあたり階段の取り付けを依頼しますが、みな口を揃えて「階段を作るスペースがないでんがな」「建て直さないと取り付けできないでおます」とおっしゃられたとのこと。
……確かにこの写真を見る限り、階段のある位置の無理やり感半端ない。
そりゃあ普通の大工さんは音を上げることでしょう。
果てさて、困り果てたシスター達。
そんな彼女たちの前に、一人の老人が現れます。
以下伝説の概要。
途方に暮れたシスターたちはノヴェナ[九日間の祈り]をすることにしたという。そしてノヴェナの最後の日に一人の灰色の髪の毛の男が一匹のロバを連れやってきた。その老人は一つの道具箱を持ってアカデミーの所で止まり、シスターたちのために一つの階段を建設することができるかどうかを尋ねた。シスター達は喜んで同意すると、彼はシスターたちの前で木片をタライにつけて作業を開始した。
用いた道具は一本の鋸、T定規それに金槌だけ。出来上がった階段は33段、完全に360度を2回転するらせん状。木の釘は使われているが、鉄の釘は一本も使われていない。そして驚くことに、螺旋階段を支えるはずの支柱がなく、まるで宙に浮いているようにみえる。
この老人、何者……っ!!!
なんか、「木造建築なら日本人の得意分野だろってことで老人は日本人だったんじゃないの?」って噂もあるようですが、そんなアジア顔丸出しだったらもっとこう、記録に残されててもいい気がします。
さて本題。
「支柱のない螺旋階段は本当に建築不可能なのか??」
結論を先に言いますと、
そんなことはありません。
なぜって、だって支柱のない螺旋階段。世界中にあります。
世界中にあるので当然建築できるということなのです。
オカルト好きなみなさんの夢を壊して申し訳ない限りですが、さっそく世界の支柱のない螺旋階段コレクションを見ていきましょう。
こちらはフランス、ナポレオン居室の螺旋階段です。聖ヨゼフの螺旋階段とかなり作りが似ていますね。
こちらはルーブル美術館にある螺旋階段です。鉄筋製ですので聖ヨゼフの螺旋階段と同じに語るのは違うかもしれませんが、でも支柱のない螺旋階段には変わりありません。
こちらは詳細不明ですが、やっぱり支柱はありませんね。
最後に、筆者の出身地・鳥取県にある仁風閣。
ここにも支柱のない螺旋階段はあります。
この階段の存在を知ってから里帰りの際に仁風閣へ立ち寄りましたが、それはもう見事な支柱のない螺旋階段でした。
管理している方にお話をお伺いしたのですが、
壁に沿わせて作ることで壁が支柱代わりになるということらしいです。
ここでもう一度「聖ヨゼフの螺旋階段」を見てみましょう。
めっちゃ壁に沿ってる。
これを考えると完全に独立しているルーブル美術館の螺旋階段は伝説の上を行くことになってしまうわけですが、そういったことを言うのは野暮ってもんです。
というわけで「聖ヨゼフの螺旋階段」は
建築可能!
なんか教会とか不思議なおっさんとかそういうのの相乗効果で、伝説という扱いになったのではないでしょうか。
ちなみにこの螺旋階段、
その昔はこんな無茶な使われ方をしていたようですが、
現在は使用禁止です。
ただ、このロレッタ教会で結婚式を挙げたカップルだけは特別に階段の上で記念撮影ができるらしいですよ。
世界の不思議好きカップルが結婚する際はこちらで挙式を検討してみると楽しいかもしれない。
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仁風閣の階段は外郭を支えにしていますからそこらの螺旋階段と変わりありません。
ナポレオン3世居室のものはカタルーニャボールト工法でも歴史が浅くまた捻りも甘く不完全です。
あと、ルーブルのものは最先端の科学技術で作られた合金製なんですよ?
140年前にこれほど見事なねじれを描き独立した螺旋階段が造られたという事実を考慮すべきです。